ロマン・ポランスキー「オリバー・ツイスト」
大好きな映画監督のひとり、ロマン・ポランスキーの最新作を見てきました。
予想どおりいい映画でした。
イバラの道を歩んできたこの監督に、かなり思い入れがあるので、
ちょっと公平さを欠いてるかもしれません。
なのでお目にあわなかったら、ゴメンなさいです。
この監督のよさは、閉じる怖さ。
事実を知れば知るほど、人と関われば関わるほど、
普通は世界開けていって広がってくんですが、
(「今を生きる」「フィアレス」などのピーター・ウィアー監督がその典型、
お気に入りの一人です)
それが逆に「閉じていく」。
人との関係や時代などに絡めとられて、身動きできなくなっていく。
その緊迫感がいいんですね。
子供が向け文学っぽい「オリバーツイスト」で
「閉じていく」ことがあるのか?って思ってましたが、
やっぱりありました、ありました。途中からスリリングになっていきます。
オープニングから本編に移る映像の工夫とか(エンディングにもあります)
ずーと貫かれてるアンダーな映像とか、いやー美しい。
主人公の少年にも感情移入してしまったー
それと、小道具が演技する瞬間があります。
「ナインスゲート」では鉄骨が崩れる時、
この作品では主人公の靴が脱げる時、見事にものが演技します。
小道具といえば、随所にでてくる食器。
マグやプレートなどイギリスのアンティークもの。
質実剛健でいいですね。バーナード・リーチを思い出しました。
救貧院での食事シーン。
新入りである主人公のマグだけ、口が欠けてます。
そういうきめ細かい演出もすごいです。
by sizima8910
| 2006-01-30 22:55
| cinema